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2025.04.23
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快適と省エネを両立する家づくり — 松尾和也氏セミナー参加レポート

こんにちは、HiL広報担当です。
2025年4月18日に南国殖産様(鹿児島)主催で開催された「失敗しない家づくりセミナー 省エネ住宅徹底解説」に参加しました。本セミナーには、株式会社松尾設計室代表取締役の松尾和也氏を講師にお迎えし、住宅の建築を予定している一般の方の他、工務店、設計事務所、不動産会社など約50名が参加しました。

この記事では、セミナーで語られたこれからの高性能住宅の重要性について、その内容をレポートします。

松尾氏が語る、住宅の新常識

本セミナーは、今年4月に施行された住宅関連の法改正に触れるかたちで始まりました。この改正により、建築確認の手続き、省エネ基準、太陽光発電の取り扱いなど、住宅に関する様々なルールが更新されています。

これらの改正は、住宅の安全性向上や省エネ化を社会全体で進めるためのものです。そのため、これから家を建てる方や大規模なリフォームを検討されている方にとって、非常に重要な変更点が含まれています。

近年、地球温暖化により日本でも猛暑日や厳寒日が増え、冷暖房にかかる電気代の負担が大きくなっています。このような状況の中、健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する方法について、日本における省エネ建築の第一人者である松尾和也氏が、ご自身の経験やデータに基づきわかりやすく解説してくださいました。

なぜ今、省エネ住宅が重要なのか?快適性と光熱費

松尾氏は、住宅の「快適性」が非常に重要であり、特に断熱・気密の重要性を強調されました。住まいに関するアンケートでは、結露、寒い、暑いが不満の上位を占めるというデータが示され、これらの原因の多くは窓にあるとし、窓の断熱改修や内窓の設置が効果的であると述べられました。

株式会社松尾設計室代表取締役 松尾和也氏

また、断熱性能は冬の暖かさだけでなく、夏の日差しを遮る「日射遮蔽(にっしゃしゃへい)」も非常に重要です。ただ闇雲に断熱性能を高めるだけでは、夏にかえって暑くなることもあると指摘されました。さらに暖房負荷については、日射取得、断熱、気密の3要素が重要であることも解説されました。適切な設計と施工があって初めて、一年中快適な温熱環境が実現できるのです。

家が健康寿命を延ばす?快適な温熱環境と健康の関係

健康面においても省エネ住宅が果たす役割は大きく、驚くべきことに、脱衣室の室温がたった2℃上がるだけで、介護が必要な期間が4年も短縮されるというデータが紹介されました。

ヒートショックが起こりやすいのは脱衣室、お風呂、トイレなどの水回りです。これらの空間を暖かく保つことの重要性、そしてそれが全館空調などの高性能な暖房システムによって実現されることが解説されました。快適な温熱環境は、単なる心地よさだけでなく、私たちの健康寿命にも直結しているのです。

初期費用だけじゃない!省エネ住宅の経済的メリット

省エネ住宅は建築コストが高いというイメージがあるかもしれません。しかし、松尾氏は長期的な視点で見ると経済的であるという点を強調されました。初期費用だけでなく、冷暖房費を含めたトータルコストで考えることの重要性、特にローンを利用して家を建てる場合、冷暖房費の削減効果は引き渡し後すぐ、つまりローンの支払いと並行して現れることさえある、と具体的に説明されました。

松尾和也氏のプレゼンに熱心に耳を傾ける参加者たち

「電気代を減らすことは、お客様の幸せ、幸福感に直結する」という松尾氏のお話は、聴講者にとって非常に納得感のあるものでした。ランニングコストを含めた経済性は、高性能住宅の大きなメリットの一つです。

性能とコストの最適解?これからのスタンダード「高性能企画住宅」

松尾氏は、現在、高い省エネ性能を持つ新築注文住宅を、適切なコストで建てるのが難しくなりつつある状況だと指摘されました。住宅コストは今後も資材価格に加えて、人件費や金利の上昇が主因となり、さらに増加する見通しとのことです。

断熱などの性能や最低限必要な延床面積はこれ以上削ることが難しい段階に達しており、コストを調整する余地として残されているのは、「設計の自由度」を合理化することだと話されていました。つまり、フルオーダーの注文住宅にこだわるのではなく、規格化・標準化へシフトすることに活路を見出すべきだ、と解説されました。

スモールファミリー向けの平屋「MSDG-f」

こうした背景を踏まえ、松尾氏が提案するのが「高性能企画住宅」です。セミナーでは、スモールファミリー向けの平屋「MSDG-f」が紹介されました。企画住宅のメリットは、単にコストを抑えるだけでなく、高い品質が保証されている点にあります。また、建築家がデザイン性だけでなく、住む人の快適性や省エネ性能まで考慮し、徹底的に考え抜いたプランであることも強調されました。

完成した時の見た目だけでなく、実際に住み始めた後の快適な生活や、将来の変化まで見据えた設計の重要性を改めて認識させられました。規格化されたプランの中に、高性能かつ合理的な家づくりのかたちがあることを示唆しています。

おわりに

今回のセミナーを通じて、省エネ住宅は単にエネルギー消費を抑えるだけでなく、住む人の健康や快適性、そして経済性にも大きく貢献するものであることを強く認識しました。特に、初期費用だけでなく長期的な視点で考えた「トータルコスト」や、高齢化社会で注目される「健康寿命の延伸」といった点において、省エネ住宅の重要性は今後ますます高まっていくと実感しました。

松尾氏のお話は、専門的な内容でありながらも、時にユーモアを交え、非常にわかりやすく、多くの示唆に富むものでした。

今回のセミナーで学んだことを活かし、私たちHiLも、お客様により快適で健康的、そして経済的な住まいを提供できるよう、これからも努めてまいります。松尾氏の建築理論に基づいたHiLの高性能企画住宅についても、ぜひご注目ください。

関連住宅商品:スモールファミリー向けの平屋「MSDG-f」

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